全国うんこ紀行 ～ミムラ佳奈編～

この作品は、全国各地の応募者宅を巡るドキュメンタリー調の構成で進行し、生活の匂いが漂うリアルな空気感が支配する。撮影場所は一般家庭や野外など多様で、素朴な背景がむしろ異様な非日常を際立たせる。日常の延長線上にある排泄という行為を真正面から描き、一般参加者との触れ合いを通して、人と人との肉体的・心理的距離が揺らぐ瞬間を捉えている点に本作の濃度がある。いわばスカトロという極限の親密さを、旅の情景とともに浮かび上がらせる構成だ。

続くシーンでは、人気スカドル・ミムラ佳奈が持つ独特の柔らかさと奔放さが際立つ。彼女は極端な題材にもかかわらず終始自然体で、緊張する素人たちを穏やかな笑顔で包み込む。口コミでも「サービス精神旺盛」「素人のマニア度がすごい」と評されており、彼女が対面するたびに空気が和むような感覚がある。露骨さや作り物めいた挑発ではなく、温かみのある交流の中で、体液も羞恥も柔らかく受け入れてしまう母性的な包容力が感じ取れる。ここに素人参加型AVならではの生々しさが宿る。

プレイは公式シリーズの特徴どおり、実際の排泄行為を中心に展開される。一人目の参加者とのシーンでは、排泄後の塗布や接触などが行われ、カメラは表情の微細な変化を克明に捉える。彼女の額に浮かぶ汗、羞恥と快楽の狭間で震える唇、その一瞬の戸惑いが強烈なリアリティを生む。視聴者のレビューでも、「もっと遊んでもらいたかった」といった声があるように、見る側のフェチ心を刺激しながらも、過剰に演出しすぎないバランス感が光る。人間の生理と欲望が静かに共鳴する、まさに排泄フェチ作品の真骨頂と言えるだろう。

総じて「全国うんこ紀行」シリーズは、旅というモチーフを通して異文化交流的なスカトロの世界を肯定的に捉え直す試みだ。安達かおる監督の手腕による素朴な映像演出と、V&Rプランニングが得意とする記録的カメラワークが融合し、過激なテーマの裏にある“人の優しさ”を浮かび上がらせる。強烈な視覚体験を持ちながらも、エンターテインメント性と人間味を併せ持つ稀有な一本であり、フェチを超えた情緒的ドラマとしての完成度も高い。シリーズの中でも特に人間観察AV的な完成度を誇る作品だ。